2022心に残った本いくつか
コロナ禍で初めての緊急事態宣言が出た2020年3月、小説家の叔父と中学入学前の姪は利根川沿いを歩いて千葉・我孫子から鹿島アントラーズの本拠地を目指す。
保坂和志の『プレーンソング』を読んだ時にも似た衝撃を受けた。主人公の心情を本当に鮮やかな形で追体験できる。小説を読んでこんな体験をしたのは初めて。スケッチ、サッカー、ジーコ、水鳥とどの話題もすばらしいが、姪による「おジャ魔女カーニバル」語りが白眉。
円城塔作品の中では割合わかりやすいとされているらしく、実際わかりにくくはない。めくるめくイメージの連鎖が楽しい一冊。
Webに大森望*1、沼野充義氏の解説がそれぞれあり、それを読むとより楽しめる。
www.kashiwashobo.co.jpジェンダー先進国ノルウェーで、制度的な男女平等は一定水準達成されたがしかし、という本。
仕事以外のケアを妻が担うことを前提とした従来の1日8時間労働を共働きでやるのは無理、賃上げよりも労働時間短縮にシフトすべきと著者は主張する。ケロッグ社が大恐慌時に地元の雇用確保のために6時間労働を採用した結果、従業員の幸福度が上がったという話が興味深い。
本以外では、ハル・ハートリーの映画、小学館時代の星里もちる作品など、昔の作品だけど今見たり読んだりしても古くないなと思うことが多かった一年でした。
*1:最近、本名が英保未来(あぼ みくる)と知ってそっちの方がPNみたいじゃんと思った